アミノ酸は、自然界に500種類存在しており、地球上の全ての生物が生きるために必要となる栄養素です。
皮膚や筋肉、内臓、脳、毛髪、骨の土台や遺伝情報を持つDNAなど、あらゆる組織の材料にたんぱく質は欠かせません。
たんぱく質は数百個のアミノ酸が結合したもので、人の体では5~10万種類のたんぱく質から成ります。そのもとになるアミノ酸はたった20種類しかありません。この20種類のアミノ酸をDNAの情報を基に組み合わせや数量、配列を変えて体を構成しています。
たんぱく質は、水分を除いた人体の構成成分の約50%を占める身体の主要な成分です。
食事で摂ったたんぱく質は、体内で最小単位のアミノ酸まで分解されて吸収されます。吸収されたアミノ酸は、全身に送られて各組織の構成成分である体たんぱく質を合成します。体たんぱく質の合成・分解は日々行われており、2/3は作り替えられ、1/3は代謝や排泄されます。この再利用できなかった1/3を食事から補います。
肌や爪、毛髪など多くの部位の材料となりますが、その中でも筋肉を動かす筋原繊維を構成しているアクチンは、体たんぱく質の約10%と大きな比重を占めます。
筋肉量を増やす場合、トレーニングの1~2時間後を目安にたんぱく質を摂取するのがオススメです。筋肉量を増やすと体内の熱を生み出す力が増えるため、冷え性の改善も期待できます。
食物の消化に関与する酵素や新陳代謝を促す酵素など、数千種類の酵素の原料となります。
また、たんぱく質を主成分とするホルモンも多くあり、ケガをした時に回復を促進する成長ホルモンや血糖値を保つ働きを持つインスリンが当てはまります。
血液で酸素を運搬しているヘモグロビン、鉄を運搬するトランスフェリンなど、輸送を担う組織の材料としても活用され、身体の働きの調整に貢献しています。
体内に侵入してきたウイルスや細菌から身体を守る免疫機能を作ります。
抗体である免疫ブロブリンや異物を破壊する補体などの材料になるほか、免疫機能を活性化させる働きを持ちます。
低栄養と免疫に関する研究では、たんぱく質不足により、外部から侵入したウイルスや細菌を攻撃する働きが低下することが報告されています。
セロトニンやノルアドレナリン、GABA(γ-アミノ酪酸)などの神経伝達物質の合成に使われます。これらの神経伝達物質が不足すると、やる気の低下や集中力が途切れやすくなるだけではなく、感情の安定が保ちにくくなり、メンタル不調に陥る恐れがあります。また、非必須アミノ酸の1つであるグリシンは、深い眠りに導き、睡眠を安定させる働きを持ちます。
1gあたり約4kcalのエネルギーを産生します。
体内に貯蔵しておいたグリコーゲンや脂肪からのエネルギーが低下すると、たんぱく質を利用してエネルギーを産生します。
体内を構成している20種類のアミノ酸は、体内で合成できる「非必須アミノ酸」と合成ができない「必須アミノ酸」とに分けられます。 非必須アミノ酸は11種類あり、必須アミノ酸は、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリンの9種類があります。必須アミノ酸は、合成ができないため、食物から摂る必要があります。
食品に含まれるたんぱく質の栄養価を示す指標をアミノ酸スコアと言います。たんぱく質は、どれか1つでもアミノ酸が不足していると合成ができないため、食品の中で1番少ない必須アミノ酸の量に合わせてアミノ酸スコアを設定しています。
動物性たんぱく質のアミノ酸スコアは高く、植物性たんぱく質は低くなる傾向があります。アミノ酸スコアが少ない食材は、白飯と味噌を一緒に食べるなど、組み合わせることで上手く補充することができます。
牛肉・豚肉・鶏肉 | 100 |
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あじ、いわし、かつお、鮭 | 100 |
卵 | 100 |
牛乳・ヨーグルト | 100 |
大豆製品(大豆・豆腐・味噌・納豆) | 100 |
白米 | 65 |
アミノ酸スコアの高い食品 (満点:100)
食事摂取基準(厚生労働省)では、18歳以上の推奨量は、男性60~65g以上/日、女性50gとしています。国民健康・栄養調査(厚生労働省)では、20歳以上のたんぱく質の摂取平均値は男性77.7g/日、女性65.1g/日と足りていますが、たんぱく質は、身体に貯めておくことができない栄養素のため、毎日しっかりと摂取することが大切です。
まぐろ(刺身8切・100g) | 21.8g |
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鶏肉・ささ身(100g) | 19.3g |
豚肉・もも(100g) | 18.0g |
牛肉・もも(100g) | 17.9g |
木綿豆腐(1/2丁) | 9.9g |
たまご(1個・50g) | 10.7g |
たんぱく質の多い食品
耐用上限量を確定できるほどの明確な根拠となる報告がないため、設定されていませんが、たんぱく質の取り過ぎによる腎機能への影響が確認できています。