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ナイアシンNiacin

ナイアシンは、ニコチンアミドとニコチン酸の総称です。栄養素としての機能だけではなく、糖尿病や脂質異常症などの治療薬としても活用されています。

ナイアシン

ナイアシンとは

ビタミンB群の1つで、ビタミンの中で最も多く体内に存在しています。
400~500種もの酵素の補酵素として働き、糖質、脂質、たんぱく質のエネルギー代謝に関与するほか、アルコール分解やDNAや神経伝達物質の合成などに関わっています。ナイアシンは、体内で必須アミノ酸であるトリプトファンからも生成され、トリプトファン60㎎がナイアシン1㎎に相当します。

ナイアシンの働き

食品をエネルギーに替える

ナイアシンは、食品を調理する過程で動物性食品はニコチンアミド、植物性食品はニコチン酸に変化します。体内に入るとどちらもNAD・NADPという活性型に変わり、補酵素として働きます。ちなみに、タバコのニコチンは有害であり、ナイアシンとは無関係の物質です。
NAD・NADPは、糖質や脂質、たんぱく質からエネルギー源であるATPをつくるために役立ちます。このATPにより、身体や脳を動かしたり、消化や代謝、呼吸などの生きるために必要な働きをすることができます。
また、脂質の代謝を促進するため、中性脂肪や血中コレステロールを減らす働きも期待できます。

アルコールの分解を促し、二日酔いを防ぐ

飲酒による二日酔いや悪酔いは、アルコールが分解されてできるアセトアルデヒドが原因で起こります。アセトアルデヒドを分解するのに欠かせないのが、ナイアシンです。お酒に強い体質かどうかは、このナイアシンが関与する酵素により決まります。
アルコールの80%をナイアシンが関与する酵素が分解し、残りの20%を他の酵素が分解します。飲酒時には、ナイアシンと共にアルコール分解の補酵素として働くビタミンB1を摂取して、肝臓の負担を軽減しましょう。

ナイアシン

心の安定を保つ

別名「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニン、ノルアドレナリンやGABA(γ-アミノ酪酸)などの神経伝達物質の合成時には、かならずナイアシンが必要です。神経伝達物質が適切に分泌されることで心の安定を保つことができます。

老化の抑制が期待される注目の栄養素

寿命を延ばす酵素と呼ばれるサーチュインを活性化させます。
サーチュインは7種類あり、老化の原因の1つである活性酸素の除去や細胞の修復、動脈硬化や糖尿病、認知症の予防、シミ・シワの改善など、様々な組織に良い影響をもたらします。サーチュインは、ナイアシンから作られるNADがないと作用できず、NADが増えることで活性が高まります。 ナイアシン自身も、新しい細胞の作り替えに必要なDNAの合成に関与しており、生き生きとした身体を保つための栄養素として注目されています。

ナイアシンを効率よく摂るために

食事摂取基準(厚生労働省)では、18歳以上の推奨量を男性13~15㎎NE/日、女性10~12㎎NE/日としています。
アルコールを飲む方は、ナイアシンの消費量が多いため、不足する場合があります。
ナイアシンの当量は、トリプトファンからの合成分を含めた数字で示します。
ナイアシン当量(㎎NE)=ナイアシン(㎎)+1/60トリプトファン(㎎)

カツオの刺身(5~6切)24.2㎎NE
マグロの刺身(5~6切)22.0㎎NE
豚レバー(100g)18.9㎎NE
真鯖(1切)15.5㎎NE
エリンギ(1株)6.7㎎NE
たらこ(1/2腹)21.7㎎NE

ナイアシンを含む主な食品

過剰摂取について

食事からの過剰摂取による健康被害の報告は存在しません。
しかし、1型糖尿病や脂質異常症の治療薬として大量に投与した際、下痢や便秘などの消化不良や肝臓障害が生じた報告から、18歳以上の耐容上限量を男性300㎎NE/日(30~64歳は350㎎NE /日)、女性250㎎NE /日としています。

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