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カリウムPotassium

アラビア語で「植物の灰」を意味するカリウムは、名前の通り、植物に多く含まれるミネラルです。カリウム以降に発見された金属元素には、カルシウム、ナトリウムのように「ium」が付けられています。

カリウム

カリウムとは

体内に約100~150g含まれる必須ミネラルです。 98%が細胞内液に存在し、残りは細胞外液である血液やリンパ液などに存在します。 細胞外液に多く含まれるナトリウムと拮抗した関係にあり、濃度を一定に保つことで細胞を正常に保ちます。また、筋肉の収縮、神経の伝達、体液のpHバランスの維持にも関与しています。

カリウムの働き

高血圧を予防する

血圧を上げる要因であるナトリウムを排出します。
身体の体液は、カリウムを多く含む細胞内液とナトリウムを多く含む細胞外液に分けられ、一定の濃度でバランスを保っています。
血圧が上がる要因の1つが、細胞外液である血液中のナトリウム量の増加です。
塩分を摂取し、血液中のナトリウム量が増えると、水分が血液中に取り入れられ、一定の濃度が保たれます。水分量が増えた血液を心臓がより強い力で送るため、血圧が上がります。

カリウム

このような血圧の上昇は一時的であり、多くの場合は、過剰なナトリウムが排泄されて元に戻ります。しかし、塩分の影響を受けやすい食塩感受性の遺伝子を持つ人は、ナトリウムが蓄積しやすく、塩分摂取量に注意が必要です。
カリウムは、腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制し、過剰なナトリウムを排出させる作用があるため、高血圧、脳卒中の予防が期待できます。

むくみを解消する

ナトリウムの排出を促し、体内に水分が溜まるのを防ぎます。
血液によって運ばれた栄養素や酸素は、血液の液体成分である血漿と共に血管から染み出て、細胞と細胞の間にある細胞間液に浸透し、細胞に到達します。
塩分摂取により血液中のナトリウム濃度が高くなると、水分を取り入れて一定の濃度に戻そうとします。その結果、細胞間液への水分の浸透も増え、むくみやすくなります。カリウムは、ナトリウムと水分の排出を促す作用を持つため、むくみ解消に効果的です。

筋肉、心臓を正常に動かす

ナトリウムイオン、カルシウムイオンと共に細胞内外を移動して、筋肉収縮に必要な活動電位を起こします。細胞外液に多いナトリウムイオン、カルシウムイオン、細胞内液に多いカリウムイオンが、細胞内外を移動することで電位差を作り、筋肉収縮・弛緩のための電気信号を神経細胞や筋肉組織に送ります。心臓の拍動もイオンの移動による電位差が関与しており、公共施設などに設置されているAED(自動体外式除細胞器)も、これらの仕組みを利用しています。

カリウムを効率よく摂るために

食事摂取基準(厚生労働省)では、18歳以上の目安量を男性2500㎎/日、女性2000㎎/日としています。国民健康・栄養調査(厚生労働省)の結果から、20歳以上の摂取平均値は男性2419mg/日、女性2213mg/日と、おおむね目安量を摂取できていると言えます。
しかし、WHO(世界保健機関)のガイドラインは、高血圧や心血管疾患の予防のため、3510㎎/日のカリウム摂取を推奨しており、他の国よりも塩分摂取量が多い日本人は、カリウムの摂取に気を配りたいところです。
カリウムは、水溶性で調理によって損失しやすい栄養素のため、汁ごと食べられるスープや生野菜・果物・納豆などがオススメです。スープは、塩分を取り過ぎないよう薄味を心がけましょう。

刻み昆布(小鉢1つ分)820㎎
乾燥わかめ(2g)100㎎
ひじき (小鉢1つ分)48㎎
ほうれん草(小鉢1つ分)270㎎
里芋(1個)640㎎
納豆(1パック)330㎎

カリウムを含む主な食品

過剰摂取について

腎機能が正常であり、カリウムのサプリメントなどを利用しない限りは、過剰摂取による危険性は低いため、耐容上限量は設定していません。

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