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葉酸Folic acid

葉酸は、貧血の危険因子として、ほうれん草の葉から発見されました。妊娠を考えている女性だけではなく、男女とも全ての世代の人にとって必要な栄養素です。

葉酸

葉酸とは

ビタミンB群の1つであり、DNAやRNAの核酸の合成に深く関与しています。DNAは、細胞を新しく作るための設計図としての役割を持ち、神経管や赤血球、肌などの様々な組織の合成に役立ちます。
葉酸が体内で利用されやすい体質かどうかは遺伝子によって異なり、CC型、CT型、TT型の3種類に分けられます。体内の利用率をCC型:100とするとCT型は65、TT型は30程度です。日本人は、TT型の人が約15%と他の国よりも少し多いことが分かっています。遺伝子検査でなければ、どの型に当てはまるのかは確認ができませんが、TT型の可能性も考え、しっかりと葉酸を摂取していきたいですね。

葉酸の働き

神経管閉鎖障害の発症リスクを下げる

妊娠中、最も早く作られる身体の組織に脳や脊髄があります。 脳や脊髄の基盤となるのが神経管です。葉酸はDNAを合成して、細胞分裂を促しますが、不足すると細胞分裂が正常に行われず、二分脊椎症などの神経管閉鎖障害の発症リスクが高まります。 イギリスの研究報告では、十分に葉酸を摂取したグループは、摂取しなかったグループと比べて神経管閉鎖障害の胎児が生まれる確率が72%も下がりました。 残念ながら、日本での神経管閉鎖障害の人数は年々増加傾向です。その為、食品からだけではなく、サプリメントなどの栄養補助食品が推奨されています。妊娠に気付かない1週目から神経管閉鎖障害の予防として葉酸は欠かせません。妊娠を考えている方は普段から葉酸を摂るように心がけましょう。

葉酸

貧血を予防する

ビタミンB12と共に赤血球を作ることから、別名「造血のビタミン」と言われています。
赤血球は、約3ヶ月で作り替えられており、赤芽球が細胞分裂を繰り返して合成されます。葉酸が不足してDNAの合成がうまく行われないと、細胞分裂がうまく行われず、正常な赤血球を作ることができません。
この状態が続くと赤血球の全体量が減ってしまい、巨赤芽球性貧血を引き起こします。

健康的な肌や髪、爪を保つ

DNAの合成により、肌や髪、爪などのたんぱく質を原料とした細胞が正常に作られます。
肌の再生(ターンオーバー)は、年齢を重ねるにつれて周期が乱れやすくなり、古い角質が残りやすくなります。葉酸を十分に摂ることで、古くなった肌や髪、爪が新しいものへと再生し、トラブルの改善が早くなります。

動脈硬化を予防する

動脈硬化を促進させるホモシステインを無害なメチオニンに変換させます。
必須アミノ酸であるメチオニンは、代謝の過程でホモシステインに変わり、再度メチオニンへとリサイクルされます。葉酸は、ホモシステインが溜まることを防ぎ、動脈硬化だけではなく、活性酸素による細胞の老化を予防します。若々しい身体を維持するためにも葉酸は欠かせない栄養素です。

葉酸を効率よく摂るために

食事摂取基準(厚生労働省)では、18歳以上の推奨量を男性・女性共に240㎍/日としています。国民健康・栄養調査(厚生労働省)では、20歳以上の摂取平均値は男性304.5㎍/日、女性287.2㎍/日と推奨量を満たしています。 ただし、妊婦、妊娠を計画している女性は、400㎍/日の摂取を推奨しており、積極的に葉酸を摂る必要があります。食事での摂取が難しい場合は、サプリメントなどの補助食品も併せて活用していきましょう。

鶏肉・レバー (100g)1300㎍
モロヘイヤ(小鉢1つ分)200㎍
ほうれん草(小鉢1つ分)170㎍
ブロッコリー(小房5個)110㎍
納豆(1パック)60㎍
いちご(5個)72㎍

葉酸を含む主な食品

過剰摂取について

食事からの過剰摂取による健康被害の報告は存在しません。
しかし、葉酸の過剰投与により、神経症状が悪化した症例報告が存在することから、通常の食品以外からの摂取量の耐容上限量を900㎍/日(30~64歳は1000㎍/日)としています。

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