血液の凝固の調整に必要な因子として発見された栄養素です。ドイツ語の凝固という意味であるKoagulationの頭文字から名付けたため、ビタミンA、B、C、D、EからビタミンKへとアルファベットが飛んだ並びになっています。
脂溶性ビタミンの1つで、血液の凝固や骨の形成、動脈にカルシウムの塊ができるのを防ぐ働きを持ちます。ビタミンK1~7まで存在していますが、自然に存在するのはK1とK2の2種類です。
食品からの摂取だけではなく、腸内細菌からも作られているため、通常の食事で不足することは少ない栄養素です。
血液の凝固の調整に関与しています。
ケガをして出血した際は、まず血小板が集まって血栓を形成します。次に血小板の合図により、フィブリノーゲンというたんぱく質がフィブリンに変化します。このフィブリンが網目の状態で血小板に重なることで、より強い血栓が形成されます。
フィブリノーゲンをフィブリンに変化させるためには、トロンビンという酵素が必要です。
ビタミンKは、このトロンビンとなる前の物質であるプロトロンビンの生成に関与しており、止血作用に大きく貢献します。
一方、出血した箇所以外は、正常に血液が流れていなければなりません。この凝固を抑制する物質の生成にも、ビタミンKが関与しています。
新生児は、腸内細菌が未熟で腸でのビタミンKの合成が少ないことから、頭蓋や消化管での出血が見られるビタミンK欠乏性出血症になりやすいことが分かっています。母乳で育てる場合は、ビタミンKが不足しないよう注意が必要です。
骨に含まれるたんぱく質で最も多いのがコラーゲンであり、その次に多いのがオステオカルシンです。ビタミンKは、オステオカルシンを活性化させて、カルシウムを骨に取り組むサポートをします。
ビタミンKの摂取量と骨折のリスクは大きく関与しており、ビタミンKが多く含まれる納豆をよく食べる地域は、納豆を食べる頻度が少ない地域に比べて大腿骨顎部骨折の発生数が少ないことが分かっています。
ビタミンKは、動脈にカルシウムが沈着することを抑制し、動脈硬化の予防に役立ちます。ビタミンKの摂取量と心臓病の関連を調べた研究では、ビタミンKを十分摂取している人は、少ない摂取量の人と比べて、心臓病による死亡率が少なかったことが報告されています。
食事摂取基準(厚生労働省)では、18歳以上の目安量を男女共に150㎍ /日としています。
国民健康・栄養調査(厚生労働省)では、20歳以上の摂取平均値は男性261.4㎍/日、女性245.2㎍/日と目安量を満たしています。体内で腸内細菌からも合成されるため、不足する心配はほとんどありませんが、抗生剤を長期的に服用している方は欠乏しやすいため、注意が必要です。
納豆(1パック) | 300㎍ |
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カブの葉(小鉢1つ分) | 270㎍ |
小松菜(小鉢1つ分) | 170㎍ |
にら (1/2束・80g) | 140㎍ |
ブロッコリー (小房5個) | 95㎍ |
乾燥わかめ (2g) | 13㎍ |
ビタミンKを含む主な食品
ビタミンKの過剰摂取による健康被害の報告は、現段階ではありません。