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亜鉛Zinc

亜鉛の歴史は古く、古代ローマ時代から合金の製造や傷の治療に利用されていたとの記述が残っています。

亜鉛

亜鉛とは

身体のさまざまな生理活動で重要な働きをする必須ミネラルです。
体内の300種以上の酵素を助けており、新陳代謝、たんぱく質合成、胎児の発育、免疫システム、味覚などに関わっています。
体内では2g程度を含有し、骨格筋や骨を中心に、皮膚、脳、肝臓、腎臓など幅広く分布しています。

亜鉛の働き

免疫力を高める

免疫細胞の司令塔として働くT細胞やウイルス感染した細胞と戦うナチュラルキラー細胞の働きを促します。粘膜を保護する働きを持つビタミンAを留め、鼻や口から入るウイルスや細菌の侵入を防ぐことにも役立ちます。

新陳代謝を促す

私たちの体内では、数十兆個の細胞が日々新しいものに入れ替わっており、腸では数日間、期間が長いと言われる骨でも5か月間で入れ替わります。
細胞を新しく作るために必要となるのが、設計図であるDNAです。亜鉛は、細胞1つ1つにあるDNAの読み取りをする重要な役目を持っています。亜鉛が不足し、設計図が読み込めなくなると、再生スピードが遅くなり、傷が治りにくくなったり、爪が割れやすくなるなどの影響が出てきます。

肌や髪の毛を健康に保つ

肌のコラーゲンの生成時にビタミンCと一緒に働くのが亜鉛です。新陳代謝を促進することにより、肌の乾燥だけではなく、ケガなどの治癒にも活用されます。
また、髪の毛の健康にも大きく関わっており、亜鉛が不足すると毛が細くなったり、脱毛しやすくなることが分かっています。

貧血予防

貧血予防と言うと鉄分が代表的ですが、亜鉛も補給したい栄養素の1つです。
赤血球の中にあるヘモグロビンは、全身の細胞に酸素を配る働きを持ちます。このヘモグロビン濃度が貧血の判定基準です。
鉄分不足による貧血は、ヘモグロビン自体が足りなくなる状態であるのに対し、亜鉛不足による貧血は、赤血球の膜が脆い状態です。脆い状態のまま運搬することで、赤血球が破損してしまい、ヘモグロビンや酸素を全身に運ぶことができなくなります。

味覚の維持

味覚は、舌にある味蕾から脳に伝わり、味を感知しています。
味蕾の中にある味細胞は、唾液に溶け込んだ味を感知する重要な役割を持っており、約30日で新しい細胞に生まれ変わります。新陳代謝を促す亜鉛が不足すると、味細胞の入れ替えが遅くなり、味覚を感じにくくなります。
味覚障害の方の半数以上は亜鉛不足と言われており、長期的に放置すると亜鉛の補給だけでは改善しにくくなる危険があります。

精子の形成・卵子の成長

別名「性ミネラル」と呼ばれるほど、生殖能力に深く関わっています。
男性ホルモンの合成・分泌に関わり、精子の生成や精子の運動性に関与しています。また、卵子は細胞分裂を繰り返し行われますが、この過程で亜鉛が大量に使われます。

亜鉛を効率よく摂るために

食事摂取基準(厚生労働省)では、18歳以上の推奨量を男性10~11㎎/日、女性8㎎/日としています。国民健康・栄養調査(厚生労働省)では、20歳以上の摂取平均値は男性9.2mg/日、女性7.6mg/日と不足していることが分かっています。 日常的に加工食品を食べる習慣がある方は、食品添加物(リン酸塩など)が亜鉛の吸収を阻害するため、不足しないよう注意が必要です。

牡蠣(3個・60g)8.7㎎
牛肉・肩ロース(100g)5.7㎎
牛肉・もも赤身(100g)4.5㎎
かに缶(1缶・50g)3.2㎎
ごま鯖(1個・100g)1.1㎎
たまご(1個・50g)0.7㎎

亜鉛を含む主な食品

過剰摂取について

亜鉛を過剰に摂取すると、鉄の吸収阻害が原因の貧血、めまい、胃の不快感のほか、銅の吸収阻害によって、活性酸素を分解する酵素の働きが低下し、細胞が酸化しやすくなります。18歳以上の耐容上限量は、男性40㎎/日(30~64歳は45㎎/日)、女性35㎎/日(75歳以上は30㎎/日)としています。

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