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ビタミンDVitamin D

骨が軟化する疾病「くる病」を患った犬にタラの肝油を与えたところ、症状が緩和したことから発見されました。体内で合成することができ、細胞に直接働きがけができるため、現在ではホルモンの一種として捉えられています。

ビタミンD

ビタミンDとは

骨の形成や体内でのカルシウム濃度の調整、免疫機能の働きを持つ脂溶性ビタミンです。
ビタミンDは、不純物として認知されたビタミンD1を除くビタミンD2~D7の6種類に分類されます。私たちが栄養素として取り入れているのは、きのこ類に含まれるD2と魚類などの動物性食品に含まれるD3の2種類です。必須ビタミンに分類されていますが、皮膚にあるコレステロールが紫外線に当たることでも生成されています。

ビタミンDの働き

骨の形成をサポートする

骨は、コラーゲンを中心としたたんぱく質の枠組みに、カルシウムが沈着することによって形成されています。常に古い骨の破壊と新しい骨の形成を繰り返しており、新しい骨の形成時に、うまくカルシウムの沈着ができないと骨が脆くなります。 ビタミンDは、古い骨の破壊と腸で吸収したカルシウムを骨へと運んでカルシウムの沈着を促す両方の働きを持ちます。血中のビタミンDの濃度が低い人は、骨折リスクが高いという報告も数多く出ており、健康な骨を保つためにはカルシウムだけではなく、ビタミンDの摂取が大切です。 ビタミンDの欠乏症には、乳幼児では頭蓋骨や肋骨などが大きく変形する「くる病」、成人では「骨軟化症」が挙げられます。

カルシウムの吸収を促す

血液中のカルシウムの濃度を一定に保ちます。血液中に含まれるカルシウムは、筋肉の収縮や神経の伝達といった重要な働きを持っています。ビタミンDは、カルシウムが不足すると、腸でのカルシウムの吸収を促したり、腎臓でのカルシウムの再吸収を促進します。カルシウムが増加すると、これらの機能を抑えて、血液中のカルシウム濃度を保ちます。

免疫力を高め、アレルギー症状を緩和する

皮膚や口の粘膜で作られる抗菌ペプチドの生成を助け、外部から侵入したウイルスや細菌を防いだり、殺菌作用を発揮します。また、ウイルスが侵入した際は、好中球やT細胞、マクロファージなどの免疫機能の働きを活性化させます。しかし、現段階での研究では、インフルエンザや感染症予防の有効性には相違があります。そのため、ビタミンDが感染症予防に効くという認識ではなく、ビタミンDの不足を回避することで、アレルギーや感染症を含めた様々な病気のリスクが上がるのを防ぐことができるという認識が間違いないようです。

骨の形成には日光が必要?

ビタミンDは、食品として摂取するだけではなく、皮膚に存在しているコレステロールの一種が日光の紫外線に当たることでも作られます。 しかし、紫外線の量は、場所や季節によって異なるため、注意が必要です。
12月の12時に顔と両手を日光に当てた場合、5.5μgのビタミンDを産生するのに必要な時間は、那覇では7.5分、つくばでは22.4分、札幌では76.4分と大きく差があります。
紫外線によるビタミンDの合成は、年齢と共に低下することを考慮し、紫外線の量が少ない冬は、ビタミンDを食品から多く摂取するよう心掛けましょう。

ビタミンD

ビタミンDを効率よく摂るために

食事摂取基準(厚生労働省)では、18歳以上の目安量を男女共に8.5㎍ /日としています。
国民健康・栄養調査(厚生労働省)では、20歳以上の摂取平均値は男性7.04㎍/日、女性6.42㎍/日と足りていません。
ビタミンDは、魚やきのこ類に多く含まれており、特に魚は含有量が多く、重要な摂取源です。きのこ類は、紫外線に当たることでビタミンDが増えるため、干したものがオススメです。

真イワシ(2匹)64.0㎍
さんま(1匹)23.5㎍
しらす干し(20g)12.2㎍
干ししいたけ(1個)1.3㎍
きくらげ(4個)1.1㎍
たまご(1個)0.9㎍

ビタミンDを含む主な食品

過剰摂取について

ビタミンDを過剰に摂取すると、高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化障害が起きることが報告されています。そのため、18歳以上の耐容上限量は、男女共に100㎍/日としています。

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