不妊のネズミの研究から発見されたビタミンです。ビタミンEの効能から、食品添加物である酸化防止剤やしもやけなどの血行促進のための薬、ハンドクリームに活用されています。
抗酸化作用や血流促進、生殖機能の維持などの働きを持つ脂溶性ビタミンです。
細胞膜に存在するほか、副腎、肝臓、心筋、睾丸、子宮など多くの組織に存在しています。
ビタミンEは、トコフェロールとトコトリエノールに分類され、それぞれα、β、γ、δの4種類が存在しています。その中で最も生理活性が強いと言われるのがα-トコフェロールで、体内にあるビタミンEの90%を占めています。
活性酸素は、加齢やストレス、喫煙、紫外線などの要因から発生し、過剰に増えると細胞を攻撃します。活性酸素に攻撃された細胞は、細胞膜に存在する脂質が酸化して、細胞への栄養や老廃物の出し入れが上手く行えなくなります。その結果、細胞が死滅したり、酸化した細胞が多い組織は、障害が起きやすくなります。
ビタミンEは細胞膜にある脂質よりも早く活性酸素と結びつくことで、細胞が酸化することを防ぎます。血管の老化による動脈硬化や脂質異常症、赤血球の膜が酸化して、赤血球が破壊されることで起こる溶血性貧血など、多くの症状の予防に繋がります。
肌は、紫外線から身を守るため、メラニン色素を生成して紫外線を吸収させます。このメラニン色素がうまく排出できないとシミやくすみに繋がります。
ビタミンEは、血管を広げて血流を良くする働きを持ち、新陳代謝を促して新しい肌を作り替える手助けします。新しい肌に作り替えることで、メラニン色素や老廃物の排出が促されるため、シミを予防し、肌をキレイに保つ効果が期待できます。また、活性酸素からのダメージを防ぐため、皮膚の老化も抑制します。
血流の収縮を促す神経伝達物質の生成を抑え、毛細血管を広げます。
血流が良くなることで、血流不良による頭痛や肩こり、しもやけなどの症状を予防します。
ビタミンEの化学名「トコフェロール」は、tocos(産む)と力 phero (力を与える)という意味を持ちます。副腎や卵巣などに蓄えられ、性ホルモンの代謝に関わっています。
生理痛などの症状の緩和や更年期の症状にも役立つことが分かっています。
ビタミンEは、同じ抗酸化作用を持つビタミンCと一緒に摂るのがオススメです。通常、ビタミンEの抗酸化作用は、1度しか使えず、自身と活性酸素が結びつくと役目を終えます。しかし、体内に存在するビタミンCがビタミンEに対し抗酸化作用を発揮すると、酸化されたビタミンEは、再び抗酸化作用を発揮することができます。
食事摂取基準(厚生労働省)では、18歳以上の目安量を男性6.0~7.0㎎ /日、女性5.0~6.5㎎/日としています。国民健康・栄養調査(厚生労働省)では、20歳以上の摂取平均値は男性7.15㎎/日、女性5.75㎎/日です。
アーモンド(5粒) | 1.8㎎ |
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ピーナッツ(10粒) | 0.7㎎ |
ひまわり油(大さじ1) | 1.5㎎ |
メカジキの切り身(1切) | 4.4㎎ |
かぼちゃ(小鉢1つ分) | 2.9㎎ |
赤ピーマン (2個) | 2.2㎎ |
ビタミンEを含む主な食品(α-トコフェロール値)
食事からの過剰摂取による健康被害の報告は存在しません。
しかし、ビタミンEの過剰投与により、出血傾向が見られた報告が存在することから、18歳以上の耐容上限量を男性850㎎/日(30~49歳900㎎/日、75歳以上750㎎/日)、女性650㎎/日(30~64歳700㎎/日)としています。