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マグネシウムMagnesium

マグネシウムの名称は、マグネシウムの鉱石を採取していたギリシャ地方のエーゲ海に面するマグネシア地方に由来します。 昔から薬として用いられてきたマグネシウムについてご紹介します。

マグネシウム

マグネシウムとは

さまざまな生理機能で活躍する必須ミネラルです。 たんぱく質の合成やエネルギーの代謝、神経の機能、体温・血圧コントロールなどの働きをする300種以上の酵素を助けています。 体内では25g程度のマグネシウムを含有しており、50~60%は骨や歯に存在し、残りは、筋肉、神経、脳に含まれます。

マグネシウムの働き

食品をエネルギーに替える

私たちが食べた糖質や脂質は、そのままエネルギーとして利用することができません。
そのため、体内でATPという物質に変換してからエネルギーとして利用されます。
このATPに変換する過程で利用される物質の1つがマグネシウムです。
マグネシウムが足りない場合、糖質や脂質がエネルギーに変換できず、中性脂肪として溜まりやくなります。

血圧の調整

カルシウムによる血圧上昇を防ぐ働きを持ちます。
カルシウムは細胞に取り込まれると筋肉の収縮を起こします。
血管にも収縮させる筋肉が取り巻いており、血管の収縮筋にカルシウムが取り込まれると収縮し、血管が狭くなり、血圧が上がります。
マグネシウムは、カルシウムが血管の収縮筋に取り込まれ過ぎないように調整し、高血圧になるのを防いでいます。

骨の形成

骨や歯の弾力性を維持する働きを持ちます。
骨や歯は、カルシウムやリン、マグネシウムなどで構成されています。
体内のマグネシウムが不足した際は、骨や歯から取り出して利用しますが、取り出す際にカルシウムも一緒に取り出してしまうため、骨や歯が弱くなり、骨折や骨粗しょう症に繋がる恐れがあります。
また、カルシウムとマグネシウムのバランスも大切です。
例えば、マグネシウム専用の鍵穴を持つ細胞は、鍵であるマグネシウムが入ることで認識され、活用されます。しかし、性質が似ているカルシウムも鍵として認識してしまうことがあります。その場合、いざマグネシウムが後から来ても、鍵穴に入ることができず、活用することができません。
つまり、カルシウムを多く取り過ぎると、マグネシウムが不足する事態に陥り、骨や歯を守ることができないということになります。
カルシウムとマグネシウムの望ましい比率は、2:1です。カルシウムだけではなく、マグネシウムの補給も忘れずにしていきましょう。

神経の興奮を正常に保つ

神経が興奮するのを抑え、神経伝達物質を正常に保ちます。
幸せを感じるホルモンと言われる「セロトニン」を放出する際にもマグネシウムが必要となることが分かっており、マグネシウム摂取量とうつ病の関係性についても研究報告されています。
神経伝達物質の放出を抑え、過度な血管収縮を防ぐ効果から片頭痛の予防も期待できます。

マグネシウムを効率よく摂るために

食事摂取基準(厚生労働省)では、18歳以上の推奨量を男性320~370㎎/日、女性260~290㎎/日としています。
平成30年度の国民健康・栄養調査(厚生労働省)では、20歳以上の摂取平均値は男性281.6mg/日、女性248.1mg/日と不足していることが分かっています。
1度に沢山食べられる食品が少ないため、コツコツと日常的に摂っていきたいですね。

乾燥あおさ(2g)64㎎
乾燥わかめ(2g)9㎎
木綿豆腐(1/2丁)86㎎
納豆(1パック)50㎎
マグロの刺身(5~6切)45㎎
アーモンド(5粒)150㎎

マグネシウムを含む主な食品

過剰摂取について

マグネシウムを過剰に摂取すると下痢になるという報告があることを踏まえ、通常の食品以外からの摂取量の耐容上限量を350 mg/ 日としています。

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